令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託費(ガス保安広報におけるナッジ理論の活用可能性調査)報告書
報告書概要
この報告は、ガス保安広報におけるナッジ理論の活用可能性について調査した報告書である。経済産業省産業保安グループガス安全室と株式会社NTTデータ経営研究所により令和2年度に実施された調査である。報告書では、まずガス事故原因の詳細な分析を行い、新聞・雑誌記事および事故データに基づいて事故要因を特定している。都市ガスとLPガスそれぞれについて、機器大分類、原因機器、原因行動、事故概要などの項目で分析を実施し、家庭用燃焼器や業務用機器における事故パターンを整理している。また、安全行動に資する既存のナッジ事例を調査し、消費者の認知と行動に関する分析調査を通じて、ガス使用における安全意識や行動実態を把握している。調査では消費者属性、ガス機器使用状況、安全広報媒体の認知度、注意点の理解方法、定期点検への態度、ヒヤリハット経験、事故経験、警報器の認知・設置意向などを詳細に分析している。さらに、消費者の行動を促す実効性のあるツールの検討として、行動デザインとナッジ手法を活用した介入方策を提案し、出現率調査、プレ介入実験、本介入実験を通じてその効果を検証している。最終的に、事故原因分析結果とナッジ理論を組み合わせたアクションプランを策定し、ガス・CO警報器設置促進やガス保安広報の効果的な実施方法を提示している。特に40歳未満の消費者に対しては料理教室やレシピサイトなどの生活に身近な場所での広報活動、安全意識の高まる時期での適切なタイミングでの広報実施などの具体的な施策を推奨している。
