令和2年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(電力・ガス事業者に係る申請業務等のデジタル化に向けた課題検証)調査報告書
報告書概要
この報告は、電子申請システムのプロトタイプサービスの開発・運用検証について書かれた報告書である。電力・ガス事業における行政手続きの電子化を通じて、官民双方の手続きコストの削減と申請データの利活用を目指した取り組みの成果がまとめられている。
電力・ガス小売全面自由化により事業者が飛躍的に増加する中、従来の紙ベースでの申請業務は行政担当者と事業者の双方に大きな負担をもたらしていた。また申請データは法定業務の手続きにのみ使用され、業務改善への活用ができていないという課題があった。
本事業では電子申請システムのプロトタイプを開発し、発電事業に関する手続きについて実際の運用検証を実施した。システム構築においては機能一覧、画面設計、データベース設計から運用計画まで、本格開発時に必要な設計書類を網羅的に作成し、今後の展開時の費用対効果向上を図った。
評価指標の設定では、初期仮説に基づいて106のKPI候補を設定し、優先度付けを行って37指標を選定した。これらの指標は電子申請システム内で計測するものと外部ツールで計測するものに分類され、手続き関連情報と操作時間を中心とした計測項目が設定された。
プロトタイプの運用検証では、関係者インタビューを通じて課題を抽出し、今後電子化対象手続きを追加する際の留意事項を整理した。技術検証においては19指標について計測可能性を確認し、電子申請システム内の計測指標は全て計測可能であることが確認された一方、外部ツール計測指標については一部計測不可能な項目があることが判明した。本事業の成果により、今後の本格展開に向けた技術的・運用的課題が明確になり、データ利活用に向けた基盤が構築された。
