令和2年度火薬類爆発影響低減化技術基準検討報告書
報告書概要
この報告は、火薬類の爆発影響低減化技術基準の策定に必要な技術資料を取得するために実施された爆発実証実験について書かれた報告書である。令和2年度に経済産業省委託事業として公益社団法人全国火薬類保安協会が実施したものである。
煙火製造施設や煙火火薬庫は、周辺環境の変化に伴い保安距離や施設能力の見直しが求められており、既存の防爆壁に新たな構造の防爆壁を追加した場合の爆発影響低減効果を検証することが事業の目的である。研究では、学識経験者や火薬・土木・材料の専門家20名で構成される委員会を設置し、その下に17名の小委員会を設置して実験計画の検討と結果の審議を行った。
実証実験は野外実験、室内実験、予備実験の3種類に分けて実施された。野外実験では1/4.4スケールで7回の爆発実験を行い、防爆壁の位置や構造による爆風圧、飛散物、地盤振動等のデータを取得した。基準爆風圧実験では地表面爆発と既存防爆壁設置状態の2条件で実施し、防爆壁の有無による爆風伝播の違いを明らかにした。
防爆壁実験では、合板、金網、ウレタンなど異なる材料・構造の防爆壁を設置した5回の実験を実施した。合板実験では火薬庫壁から6メートル前後の位置が最適であることが判明し、金網実験では爆風低減効果は確認されたものの重量飛散物の発生により新型防爆壁には不適と判断された。ウレタン実験では特に3面設置の場合に高い低減効果が確認され、全方向において爆風圧の低減が実現できることが分かった。これらの実験結果は技術基準作成のための貴重なデータとして活用される予定である。
