令和2年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(製品安全分野におけるデータ利活用調査) 最終報告
報告書概要
この報告は、インターネット取引における法令違反製品や製品事故のリスクをデータ分析により検出・予防することを目的とした調査研究である。三つの主要な分析を実施し、法令違反製品・販売事業者の傾向分析、重大・非重大製品事故の予兆分析、分析結果の妥当性検証を行った。
法令違反傾向分析では、三つのECサイトに出品される重点五品目について、十五の仮説を統計的に検証し、商品および販売事業者の特徴と法令違反傾向との関連性を明らかにした。その結果、ECサイトや品目ごとに異なる傾向が確認され、照会後商品削除という法令違反の予備軍についても複数のリスク傾向が判明した。予測モデルの構築では、法令違反例のサンプル数の制約により品目横断モデルのみを構築し、適合率最高一〇〇パーセント、再現率最高約五十五パーセントの精度を達成した。
製品事故の予兆分析では、インターネット検索データおよびSNSデータを収集し、品番と事故ワードの検索量による予兆検知の可能性を発見した。さらに品番やメーカー名を含む投稿をシグナルとする予兆検知方法を検証し、実現可能なツールイメージを作成した。
分析結果の妥当性検証として外部有識者三名によるヒアリングを実施し、分析アプローチや解釈の妥当性が確認された。今後の課題として、法令違反サンプルの効率的収集、継続的なデータ収集・分析・検証体制の構築、品番・メーカー名一覧の拡充、SNSデータのクリーニング精度向上、運用ノウハウの蓄積が挙げられている。
