令和2年度産業経済研究委託事業 職場における外国人材との効果的なコミュニケーション実現に向けた学びのあり方に係る調査報告書
報告書概要
この報告は、職場における外国人材との効果的なコミュニケーション実現に向けた学びのあり方について書かれた報告書である。
令和2年度に実施された本調査では、外国籍社員が活躍する企業において、約7割の日本人社員が外国籍社員とのコミュニケーションに関する学びの機会がないという現状が明らかになった。日本人独特のハイコンテクストな会話が職場でのミスコミュニケーションの要因となっており、日本人社員向けの学習機会が不十分であることが課題として浮上している。
調査では、外国籍社員受入・定着に向けた企業の取り組み全体像の把握、具体的施策の選択肢と事例提供、実施方法の解説、社内関係者の理解促進などが必要な情報として特定された。これらの課題解決に向け、ハンドブック、解説動画、シーン動画、インタビュー動画などの多様な教材開発の方向性が示された。
特に効果的な学習手法として、ミスコミュニケーションに関するシーン動画を視聴し、同僚とディスカッションを行う方法が検証された。この手法により、参加者の意識変化や新たな気づきが促進されることが実証された。学習効果を高めるためには、他者の価値観を知ることができるディスカッション機会が重要であり、そのための仕掛けづくりが必要だと結論づけられている。
調査結果から、コミュニケーションはいずれか一方が相手に合わせるのではなく、日本人社員と外国籍社員双方の歩み寄りが必要であることが強調されている。また、その橋渡しを担うファシリテーターの役割も重要な要素として位置づけられている。コミュニケーション学習の本質は正解を覚えることではなく、多様な考え方に触れ、より良いコミュニケーション方法を考えることであると定義されている。