令和2年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業 高圧ガス保安法関連製品販売実態・危険性等調査報告書

掲載日: 2021年8月24日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ高圧ガス保安室
委託事業者: 高圧ガス保安協会
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令和2年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業 高圧ガス保安法関連製品販売実態・危険性等調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、高圧ガス保安法関連製品の販売実態および危険性について調査された報告書である。

近年のインターネット市場において、高圧ガス保安法上の検査を経ていない製品や違法行為を可能にする部品等が広まっていることを受け、経済産業省委託により高圧ガス保安協会が実施した包括的な調査報告となっている。調査対象として、小型スクーバダイビング用タンク、CO2およびLPGの移充塡用アダプター・ホース、高圧用ハンドポンプ、液化炭酸ガス容器等が設定された。

ECサイト調査では、Amazon、ヤフオク、メルカリ等の主要プラットフォームにおいて計2,283件の対象製品販売が確認され、このうちLPGの移充塡用アダプター・ホースが1,253件と最も多く、動画投稿サイトでも同様に42件の違法性が疑われる動画が発見された。実店舗調査では全国のリサイクルショップ、酒販店等を対象とした聞き取り調査を実施し、ミドボンについては62の酒販店で販売が確認されたものの、その他の違法性が疑われる製品の販売実績は確認されなかった。

危険性評価試験において、内容積0.5Lおよび1.0Lのスクーバ用容器について、傷のない状態ではサイクル回数12,000回後に漏洩は認められず破裂試験でも十分な強度を示したが、傷つけた容器では50回未満で漏洩が発生し、破裂圧力も約20MPa低下することが判明した。アウトドア用ガスボンベについては、試験開始直後に漏えいが認められ、再充塡行為の危険性が確認された。

諸外国の規制動向調査では、米国、欧州、豪州いずれにおいても第三者機関による検査および再検査が義務づけられており、日本の規制と同等程度の厳格さを有していることが確認された。調査結果から、簡易な液化ガス容器への再充塡行為が最も多く確認され、これらはカセットボンベ破裂事故等の実例もある極めて危険な行為であることが明らかとなった。今後の対策として、ECサイト運営者や動画投稿サイト運営者との協力体制構築、出品者・購入者への危険性周知、教育啓発活動の向上等が必要であると結論づけられている。