令和2年度九州地域ものづくり中小企業事業化支援事業「ミニマルファブ等の事業化に向けた市場ニーズ調査及び販路開拓等支援事業」報告書
報告書概要
この報告は、九州地域における中小企業のミニマルファブ等の事業化に向けた市場ニーズ調査及び販路開拓等支援事業について書かれた報告書である。経済産業省九州経済産業局が公益財団法人九州経済調査協会に委託して実施された令和2年度事業の成果をまとめたものである。
九州の半導体分野は全国の約4割の生産金額を誇る基幹産業であり、IoT社会の到来や顧客ニーズの多様化により多品種少量生産技術の開発が求められている。ミニマルファブは産総研が2012年に開発開始した技術で、従来の大量生産を前提とした半導体製造工場のプロセスを小型化し、1チップごとの製造を可能とする革新的な技術である。
本事業では、サポイン事業を活用してミニマルファブ等の技術開発を行った九州管内累計6社の事業化実態調査、全国約1000名の研究者を対象とした市場ニーズ調査、そしてハンズオン支援による事業化支援の3つの調査事業を並行して実施した。調査では、半導体分野のみならず創薬・バイオ、宇宙、素材などの他分野への応用可能性も検討された。
調査結果として、研究開発における試作・小ロット生産のニーズが高く、年10回以上の多頻度での利用が主流であることが判明した。また、低コストでの試作・小ロット生産への需要が強く、外注が多用されている実態が明らかになった。ミニマルファブに対する認知度は半導体・エレクトロニクス分野で高く、低コスト運用コンセプトへの関心も高いことが確認された。
さらに、メガファブでの短期試作、宇宙用・MEMS・IoTデバイスの小ロット生産、EOL品対応、新構造・新材料デバイス開発、試作サービス、教育分野など幅広い活用領域が特定された。半導体以外では細胞培養デバイス、微細加工、マイクロ流体デバイスなどの応用可能性も見出された。これらの調査結果に基づき、今後のミニマルファブの事業化に向けたビジネスモデルの方向性と提言がまとめられている。
