令和2年度地域経済産業活性化対策調査事業「地方都市におけるドローン活用モデル調査・促進事業」調査報告書

掲載日: 2021年8月31日
委託元: 経済産業省
担当課室: 北海道経済産業局地域経済部製造・情報産業課
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令和2年度地域経済産業活性化対策調査事業「地方都市におけるドローン活用モデル調査・促進事業」調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、北海道における地方都市でのドローン活用モデルについて書かれた報告書である。我が国では物流分野における深刻な労働力不足が進行しており、トラックドライバー不足を感じる企業が約7割に達している。同時に電子商取引市場の急速な拡大により宅配便取扱量が5年間で約6.7億個増加し、物流事業の価格水準および賃金水準も上昇傾向にある。特に北海道では全国より10年早い1997年から人口減少が始まり、2045年には総人口が400万人まで減少する見込みとなっている。高齢化率も全国平均を上回るペースで進展し、広域分散型の地域構造により買物難民の増加や医療アクセスの悪化といった課題が深刻化している。

このような社会課題と地域課題を背景として、政府が推進する「空の産業革命」においてドローン物流の実現が中心テーマとなっているが、地域企業でのビジネスモデル構築に必要な基礎情報不足や先行モデルの未創出により、全国的に検討が十分に進んでいない現状がある。本調査では広大で分散した都市構造を持つ北海道をフィールドとして、日用品や医薬品配送を題材にドローン活用モデルの実装に向けた課題と解決策を検討した。

他地域の実証事例分析から、円滑な社会実装には初期費用と運転費用の抑制、省人化、地元への運営移管、定常的な荷物確保、機体信頼性向上、リース等の活用が必要であることが判明した。また持続可能な事業運営には地元自治体等による運航補助、荷物管理、情報共有が不可欠である。これらを踏まえ、医薬品のような高単価かつ軽量商品の取り扱いまたは複数社による共同利用で稼働時間を向上させることが事業成立の鍵となると結論付けた。具体的には医薬品を主要品目として料金負担課題を解決し、他社商品も扱うことで費用低減を図るモデルが最も実現可能性が高いとされた。