令和2年度地域経済産業活性化対策調査事業バイオ技術領域における研究開発型スタートアップ・エコシステム構築に向けたアカデミアシーズの価値最大化コンソーシアム組成可能性に関する調査事業実施報告書
報告書概要
この報告は、北海道におけるバイオ技術分野の研究開発型スタートアップ・エコシステム構築に向けた調査事業について書かれた報告書である。OECDが2030年に向けたバイオエコノミー戦略を提唱し、2030年のバイオ市場が世界のGDPの2.7%(約200兆円)に成長すると予測される中、日本は「バイオ戦略2019」を策定し、2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会の実現を目標としている。北海道には1,000名以上のバイオ関係研究者が存在し、多様な研究開発が進められているが、大学運営交付金の減少により研究力低下が懸念されている。道内では2017年から2019年の3年間で医療分野の研究成果を基盤とした5社以上のバイオベンチャー企業が設立されており、北海道大学のバイオ関連特許約800件のうち68.5%が共同研究による共願となっている。本事業では、バイオ技術領域におけるアカデミアシーズの実態調査、道内大学研究者のビジネスマインド醸成機会の創出、アカデミアシーズの価値最大化コンソーシアム組成可能性調査の3つの事業を実施した。実態調査では道内9大学を対象に162名の研究者をリストアップし、25件のシーズについてヒアリングを実施した。ビジネスマインド醸成では「道内大学発!VCピッチチャレンジ2020」を開催し、8名のベンチャーキャピタルをアドバイザーとして8件の研究シーズの発表会を実施した。コンソーシアム組成可能性調査では道内外企業97社に技術導入ニーズ調査を行い、23社から回答を得た。今後の課題として、大学産学連携部門との連携強化、バイオシーズを評価できる目利き人材との連携、スタートアップ研究の継続的な開発支援が必要であることが明らかとなった。
