令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(特定設備検査基準等技術動向調査)報告書
報告書概要
この報告は、高圧ガス保安法における引用規格の技術動向調査について書かれた報告書である。平成30年の工業標準化法改正により日本工業規格が日本産業規格に名称変更されたが、高圧ガス保安法の省令・告示・通達で引用されている規格は長く見直しが行われず、古い規格が引用されている状況を受けて実施された調査である。令和2年度引用規格調査委員会を設置し、学識経験者や高圧ガス事業者等の専門家により検討が行われた。高圧ガス保安法には29の省令・告示があり、このうち4省令・8告示において規格が引用されており、引用規格55規格のうち40規格が改廃されている状況が明らかになった。省令・告示の引用規格については、技術的問題や規制上の影響を検討し、36規格のうち24規格は最新版への置換えが可能と判定された。一方、12規格については技術的問題や規制上の影響があるため現行のままとし、通達との整合性確保等の対応が必要とされた。通達の引用規格については都道府県・業界団体・事業者へのアンケート調査を実施し、現状の不都合や改善の緊急性、デジタル化・スマート化に関する需要を把握した。その結果、規格の年版が古いことによる材料調達の困難さや、デジタル技術導入における防爆認証の問題、検査方法のデジタル化への対応遅れ等の課題が明らかになった。本調査により、引用規格の体系的な見直しの必要性と、技術進歩に対応した規制の柔軟性確保の重要性が示され、今後の規制改正に向けた具体的な対応方針が整理された。
