令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(石油精製プラント等の事故調査)報告書

掲載日: 2021年9月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ高圧ガス保安室
委託事業者: 高圧ガス保安協会
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令和2年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等事業(石油精製プラント等の事故調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和2年度に経済産業省が委託した石油精製プラント等における高圧ガス事故の調査事業について書かれた報告書である。高圧ガス保安協会が実施主体となり、高圧ガス事故の統計処理、内容分析、類型化調査、事故調査解析委員会の設置等を通じて、高圧ガス事故の再発防止と公共安全の確保を目的とした包括的な調査が行われた。

調査内容は、令和2年1月から12月に発生した高圧ガス事故情報の統計処理と分析、過去数年間で繰り返し発生している事故の類型化調査3件の実施、平成30年以降の石油精製業等で発生した教訓価値の高い事故15件の概要報告書14件の作成、高圧ガス事故の定義に関する検討、重大事故2件の調査、事故防止のための視聴覚資料の作成などが含まれている。事故調査解析委員会と視聴覚資料整備委員会という2つの専門委員会が設置され、東京工業大学名誉教授の小林英男氏を委員長とする学識経験者、行政関係者、業界関係者による技術的妥当性の検討が行われた。

特に注目すべきは、二酸化炭素消火設備に関連する事故調査である。高圧ガス・石油コンビナート事故対応要領における事故定義の見直しにおいて、噴出・漏えい事故の程度、部位、ガス種類等による事故対象範囲の検討が実施された。二酸化炭素消火設備による人的被害事故が過去から断続的に発生しており、1979年から2011年にかけて立体駐車場等での誤作動や誤操作により死傷者が発生した事例が複数確認されている。これらの事故は高圧ガス保安法と消防法の適用関係において複雑な課題を提示している。

視聴覚資料については、2008年に千葉県で発生したバルブ閉め忘れによる毒性ガス(塩素)漏えい事故を題材とした11分59秒の教育用映像が作成された。この事故では塩素ガス約400kgが漏えいし、軽傷者15名が発生した重大な事案であった。報告書は、高圧ガス事故の効果的な再発防止対策と安全教育の重要性を示すとともに、法令間の整合性確保の必要性を提起している。