令和2年度海外現地法人の経営力向上に向けた実態調査調査報告書
報告書概要
この報告は、海外現地法人の経営力向上に向けた実態調査について書かれた報告書である。令和3年2月に経済産業省東北経済産業局が委託し、Kusumoto Chavalit & Partners Ltd.が実施した調査の結果をまとめている。内需と労働人口が減少する我が国において、海外需要の取込みは必要不可欠であるが、近年の日本企業の海外事業は日系企業間の過当競争や外国企業の台頭により厳しい経営環境に直面している。特に新型コロナウイルスの影響により、海外現地法人はより厳しい状況に置かれており、経営資源に制約がある中堅・中小企業において顕著である。本調査では、海外現地法人の経営力向上を「現に有する経営資源又は他の事業者から取得した経営資源を導入して、経営能力を強化し、経営の向上を図ること」と定義し、先進的な事例調査を実施した。調査対象はアジア地域、特に東南アジアを中心とし、事業再編による経営力向上に取り組む中堅・中小企業14事例、危機に対する柔軟性・強靭化に取り組む8事例、民間支援機関の支援強化4事例の計26事例についてヒアリング調査を行った。調査結果から、現行支援制度の課題として、外資規制による出資比率要件の制約、為替リスクの影響、返済負担による設備投資の制約などが明らかになった。これらの課題に対し、包括的海外事業支援体系の構築、現行支援制度の改正、支援機関強化などの提言を行い、今後の中堅・中小企業の経営力向上と海外事業拡大を後押しする制度改正および支援策拡充につなげることを目的としている。
