令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(バイオベンチャーの特性を踏まえた、非財務情報に基づく企業価値評価と上場制度の設計のあり方に関する調査)
報告書概要
この報告は、バイオベンチャーの特性を踏まえた非財務情報に基づく企業価値評価と上場制度の設計について書かれた報告書である。本調査では、イノベーションエコシステム構築、バイオ産業成長を促す金融市場の最適化、金融リテラシー向上という三つの主要論点について検討されている。イノベーションエコシステム構築に関しては、バイオベンチャーの海外投資家呼び込みや出口戦略が重要課題として取り上げられており、海外成功事例に基づく日本における施策方向性や、M&A比率の低さが引き起こす弊害とその解決策が検討されている。金融市場の最適化については、バイオインデックスの有用性と普及、上場時の適切なバリュエーションや株式保有割合、国内投資機能の強化、グロース市場のあり方が論じられている。特に機関投資家3割組み込みルールの実現可能性評価や、海外政府系ファンドの投資実績に基づく施策検討が行われている。金融リテラシー向上策として、情報開示ガイドブック案の提示とクロスオーバー投資創設が検討されており、バイオベンチャーの情報開示項目として主要メンバー・ガバナンス、コーポレートストーリー、論文・学会発表等の詳細な記載項目が整理されている。さらに伊藤レポート2.0改訂版とIRガイドブックの普及活動についても言及され、有識者による検討会の運営を通じた政策的課題と解決策の総合的検討が行われている。