令和2年度燃料安定供給対策に関する調査事業(持続可能な石油コンビナートへの変革・連携強化に関する分析調査)報告書

掲載日: 2021年9月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石油精製備蓄課
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令和2年度燃料安定供給対策に関する調査事業(持続可能な石油コンビナートへの変革・連携強化に関する分析調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、持続可能な石油コンビナートへの変革・連携強化について書かれた報告書である。国内外の石油需要減少と国際競争激化の中で、日本の石油コンビナートが持続的発展を図るための戦略分析が実施された。海外石油コンビナートの設備戦略調査では、中国をはじめとするアジア圏の新興コンビナートが石油精製とエチレンセンターの統合により「石化シフト」を進めており、石油製品や石化製品の輸出競争が激化していることが明らかとなった。米国はシェール革命により高い競争力を維持し、原油や石化製品の輸出を急増させ、アジア市場にも供給を拡大している。欧州では気候変動対策が新たな国際競争力の源泉となり、メジャー企業は事業ポートフォリオの組み換えを開始している。国内石油コンビナートの国際競争力評価では、AHP階層化意思決定法を用いて国内外25の主要コンビナートを比較分析した結果、日本のコンビナートは徐々に競争力を向上させているものの、アジアの上位コンビナートとの差は拡大傾向にあることが判明した。石油・石化製品の需給バランス分析では、2024年度に原油処理を現状維持する場合、TOP能力158千BD相当が余剰となり、特に軽油の余剰が顕著となることが示された。瀬戸内地域をモデルとした最適化検討では、2030年度に約20%のTOP能力余剰が発生し、特に揮発油需要減少によりFCC装置の稼働率が大幅に低下する見込みが確認された。対策として中間留分バランス改善のためのVHDS装置のMHC改造、超軽質原油処理、FCC高分解型転換の具体的検討が実施され、その有効性と採算性が検証された。これらの調査結果は地域内コンビナート全体最適化の推進に向けた重要な基礎資料となるものである。