令和2年度中部地域における循環経済(サーキュラーエコノミー(CE))の実現に関する実態調査及び検討調査報告書

掲載日: 2021年9月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中部経済産業局資源エネルギー環境部環境・リサイクル課
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令和2年度中部地域における循環経済(サーキュラーエコノミー(CE))の実現に関する実態調査及び検討調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中部地域における循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現に関する実態調査および検討について書かれた報告書である。

中部地域の5県(愛知県・岐阜県・三重県・富山県・石川県)は、全国の製造品出荷額の約2割を占める製造業の一大集積地であり、特に輸送用機械が42.4%と全国平均の21.1%を大幅に上回っている。電気機械や一般機械など輸送用機械を支える産業も含め、原料・素材から最終製品まで製造業のサプライチェーン全体が集約されている地域である。

本調査では、中部地域を中心とした19社の事業者にヒアリング調査を実施し、資源循環に関する先進的な取組みとその課題を把握した。金属資源関係事業者では、鉄やアルミのリサイクルが進んでおり、高度な解体・選別技術により一貫処理体制を構築している事例が見られた。プラスチック資源関係事業者では、廃棄物の種類が多く分別作業が困難であるため、排出者との協力関係構築が重要であることが明らかになった。

ヒアリング結果から、アルミニウム資源の高精度・安定的な再資源化、地産繊維再生材の機能材転換、デジタル技術を活用したマッチングによる再生プラスチック用途拡大など、6つの分野でモデル化が期待される取組みが特定された。これらは産業分野・資源、循環性の向上、環境性能評価の掛け合わせの観点から整理されている。

有識者からの意見聴取では、中部地域がサーキュラーエコノミー実現のポテンシャルが高い地域であることが確認され、モデル事例の創出により日本版循環経済を世界に示すことができるとの見解が示された。また、循環性とカーボンニュートラルの両立、デジタル技術の活用、経営者レベルでの意識醸成の重要性が指摘された。

報告書では最終的に、中部地域の循環経済加速のために必要な取組みとして、先進事例や動向についての情報発信・提供、CEモデルプロジェクトの創出・展開支援、中部地域循環経済アドバイザリーボードの設置の3つの柱が提案されている。これらの取組みにより、中部地域の製造業の競争力強化と持続可能な循環型社会の形成を両立させることが期待される。