令和2年度東北地域におけるオープンイノベーション加速化に向けた、オープンイノベーション拠点及びデジタルエンジニア人材高度化調査に関する調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度に実施された東北地域におけるオープンイノベーション加速化に向けた調査について書かれた報告書である。本調査は、技術革新やAI・IoTの導入が加速する中で、地域製造業の競争力強化のためにオープンイノベーション拠点とデジタルエンジニア人材育成の実態を把握し、産学融合の促進を図ることを目的としている。第一部では、東北地域の大学・研究機関におけるオープンイノベーション拠点の実態調査を実施した。具体的には、弘前大学、岩手大学、東北大学、秋田大学、山形大学、会津大学など12大学に対してヒアリング調査を行い、各拠点の取り組み内容、対象技術領域、課題認識について分析を行った。調査結果によると、多くの拠点でIT、ものづくり、エネルギー分野を中心とした幅広い技術領域において、情報提供、研究支援、共同研究、人材交流などの取り組みが展開されている。第二部では、デジタルエンジニア人材育成について、秋田県が展開する「秋田モデル」の横展開事業を実証調査として実施した。このモデルは、IoT技術の内製化を目指し、基礎技術研修と工場内での実践研修を組み合わせた人材育成手法である。青森県、岩手県、山形県、福島県の5箇所で計26社41名を対象としたIoT基礎技術研修を実施し、座学と実践を通じてワンボードコンピュータやセンサー技術を活用したプログラム作成を体験させた。研修参加者の満足度は95%に達し、一部参加者は既に自社でのIoT技術導入検討を開始するなど、実践的な効果が確認された。本調査を通じて、東北地域における産学連携の現状と課題が明らかになり、今後のオープンイノベーション拠点活用促進とデジタル人材育成の方向性が示された。
