令和2年度学びと社会の連携促進事業(「未来の教室」(学びの場)海外展開支援等事業) 実施報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度におけるEdTech企業の海外展開支援について書かれた報告書である。第4次産業革命やグローバル化が進む中、世界各国で革新的な教育技術を活用した「学びの革命」が進展しており、成長する世界のEdTech市場をターゲットに日本企業の海外展開支援を効果的に行うことを目的としている。
事業は主要な三つの柱から構成されている。第一に、海外の教育展示会へのナショナルブース出展事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により従来のBETT2021がオンライン化されたため、代替事業として「LEARNIT LIVE - VIRTUAL INTRODUCTIONS」に16社が参加し、72件の商談件数を記録した。また、英国エドテックオンラインマッチングイベントも実施され、BESA会員企業との商談機会を創出している。
第二に、グローバルにおける教育ICT関連展示会等の年間カレンダー作成事業では、米国、英国、フィンランド、シンガポール、フィリピン、インド、南アフリカ、ブラジルの8カ国を対象とした市場調査を実施し、各国の教育ICT市場の動向と主要展示会情報を整理している。調査によると、新型コロナウイルスの影響でオンライン教育需要が急拡大し、各国でデジタル教育インフラの整備が加速していることが明らかになった。
第三に、「未来の教室」海外実証事業では、株式会社トイエイトホールディングス、株式会社Digika、株式会社Libry、株式会社すららネットの4社がそれぞれ異なる国・地域で教育技術の実証実験を実施した。各企業は教育機関と連携し、自社の教育ソリューションの現地適応性や効果を検証している。
事業全体の課題として、オンライン化への対応、個社の取り組みに終始する傾向、企業間連携の不足、現地教育機関への PR機会不足が挙げられている。改善策として、オンラインでの実証支援体制強化、実証実施国での情報発信強化、複数企業の取り組み紹介の場の設定が提案されている。今後の展開として、海外展開のステージに応じた支援拡充、オールジャパンでの取り組み推進、成功事例の国内企業への紹介などにより、日本のEdTech企業の海外展開に向けた好循環の創出を目指している。