令和2年度不確実性時代における中小企業経営の変革に関する調査研究事業報告書

掲載日: 2021年10月14日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局総務企画部中小企業政策調査課
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報告書概要

この報告は、不確実性時代における中小企業経営の変革に関して書かれた報告書である。令和2年度に近畿経済産業局が実施した調査研究事業として、新型コロナウイルス感染症の影響下で中小企業がどのような経営変革を行っているかを分析している。

報告書では、現代の不確実性の要因として米中貿易摩擦、自然災害の増加、デジタル技術革新による非連続な変化を挙げている。近畿地域の中小企業では、リーマンショックや東日本大震災時と同様に新型コロナウイルスにより業況が大幅に悪化したことが示されている。

従来の危機対応では経費削減や設備投資抑制による「待機戦略」が一般的であったが、不確実性時代においてはこの戦略が逆効果になる可能性が指摘されている。企業が緊急融資を活用し手元資金を確保する一方で、設備投資を大幅に減少させている現状が明らかになっている。

調査では、既存の能力を最大限活用するオーディナリー・ケイパビリティに対し、環境変化に対応して組織能力を変革するダイナミック・ケイパビリティの重要性を論じている。ダイナミック・ケイパビリティに関連する8つの取り組みとして、仕入先の変更・分散、製造拠点の分散、代替品確保、DX対応、新事業進出、研究開発強化、従業員の多能化、専門人材確保を設定している。

アンケート調査とヒアリング調査を通じて、これらの取り組みを積極的に実践する企業群の実態を把握し、経営資源の観点から分析を行っている。調査結果から、不確実性に対応し変革を成し遂げている企業の特徴を明らかにし、今後の中小企業経営におけるダイナミック・ケイパビリティ向上の有効性について検証している。