令和2年度燃料安定供給対策に関する調査事業(LNG市場の柔軟性向上に向けた課題及び対応策に関する調査等)
報告書概要
この報告は、LNG市場の柔軟性向上に向けた課題及び対応策に関する調査について書かれた報告書である。我が国は世界最大のLNG消費国として世界需要の5分の1を占めており、アジアを中心とした世界的なLNG需要拡大や米国・豪州・カタール等からの輸出量増加、国内電力・ガス小売市場の自由化進展により、LNG調達を巡る市場環境が大きく変化している。経済産業省は平成28年5月にLNG市場戦略を発表し、仕向地制限撤廃をはじめとした柔軟で透明性の高いLNG市場構築による調達安定化と価格抑制・安定化を推進している。2020年から2021年初にかけてのLNG市場では、コロナウイルス感染拡大の影響により生産プロジェクトのFIDや建設に遅延が生じ、LNG市場の拡大が失速した。特に中国の需要急激な伸びによるスポット市場での価格不安定化が顕著となり、2020年第2四半期には価格が史上最低水準まで下落し、その後2021年初には極端な価格上昇が見られた。消費国や生産国との連携強化を通じた柔軟なLNG取引実現に向けて、G7やLNG産消会議等の多国間会合や日EUエネルギー政策対話等が活用されている。また、アジアを中心とした海外での天然ガス・LNG利用促進による新規需要家拡大に向けた関係国との政策対話も行われている。報告書では、国際的なLNG市場動向の調査・分析や生産国・消費国の政府・産業界関係者による対話促進を通じ、流動性の高い国際LNG市場構築に向けて我が国政府が取り組むべき課題と対応策を提示することを目的としている。
