令和2年度地球温暖化問題等対策調査(地球温暖化問題を巡る国際動向調査(気候変動枠組条約(UNFCCC)))調査報告書
報告書概要
この報告は、地球温暖化問題を巡る国際動向、特に気候変動枠組条約(UNFCCC)について書かれた報告書である。令和2年度に一般財団法人電力中央研究所が実施した調査結果をまとめたものであり、COP25後の気候変動交渉の状況とパリ協定の運用、主要国の動向について詳細に分析している。
COP25では多くの議題が決裂し、COP26以降に先送りされたが、主要な議題はパリ協定実施指針交渉の延長戦と途上国支援に関連する議題に大別される。パリ協定6条の実施指針については、CDMの移管や6条2項に対するshare of proceedsの是非をめぐって合意に至らず、NDCの共通タイムフレームや透明性枠組みの共通報告表についても交渉が継続している状況である。
2020年にはパリ協定の運用が本格的に開始され、各国はNDC(2030年目標)の提出と長期戦略の策定が求められた。米国はトランプ政権下でパリ協定から脱退したが、バイデン政権により復帰し、2021年のCOP26では締約国として交渉に参加することとなった。
報告書では主要国の動向として、米国の政策転換、EUのグリーンディール、英国の野心的な目標設定、中国の2060年カーボンニュートラル宣言、インドの再生可能エネルギー拡大政策などを詳細に分析している。特にインドについては、石炭火力発電の効率改善、原子力発電の拡大計画、電気自動車の普及促進政策、省エネ達成認証取引制度(PAT制度)などの国内政策が包括的に検討されている。これらの分析を通じて、各国の気候変動対策の現状と課題、今後の展望が明らかにされている。