令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(今後の次世代電力ネットワーク及びネットワークビジネスの在り方に関する調査)報告書

掲載日: 2021年11月4日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力産業・市場室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(今後の次世代電力ネットワーク及びネットワークビジネスの在り方に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、次世代電力ネットワーク及びネットワークビジネスの在り方について書かれた令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査報告書である。

報告書では、エネルギー業界におけるデジタル技術の活用と新たなビジネスモデルの展開について包括的に分析している。特に注目されるのは、米国OPPD(オマハ公共電力公社)の顧客プラットフォーム「Listens」や地域型情報銀行サービス「MINLY(マインリー)」といった革新的な取組事例である。これらのサービスは、顧客との双方向コミュニケーションを通じて電力需給の最適化を図る新しいアプローチを示している。

欧州では、ドイツのシュタットベルケ(地域公益事業体)による多角化戦略が詳しく検討されている。主ヴェービッシュ・ハル シュタットベルケやStadtwerke Munchenの事例を通じて、電力供給事業にとどまらず熱供給や情報通信など幅広い分野への展開による収益構造の多様化が分析されている。また、TSOのアンバンドリングや混雑解消対策としてのローカルフレキシビリティ市場の活用についても詳細に述べられている。

さらに、オランダのLayered Energy SystemやイギリスのCornwall Local Energy Market、picloプラットフォームなど、地域レベルでのエネルギー取引市場の実証事例が紹介されている。これらの取組は、分散型エネルギー資源の効率的な活用と地域経済の活性化を両立させる新たなモデルとして位置づけられている。

報告書では、フランスにおけるIHDへのリアルタイムデータ表示義務化や大阪ガスのデマンドレスポンスメニューなど、各国の政策動向と事業者の具体的な取組についても言及されており、今後の日本のエネルギー政策とビジネス戦略の方向性を示唆する内容となっている。