令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(次世代自動車普及動向の調査)報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度における次世代自動車の普及動向について調査した報告書である。本調査では、2030年を目標年度とする乗用車の燃費基準の策定背景を踏まえ、電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車を中心とした次世代自動車の国内外における普及状況を把握することを目的としている。調査対象国は日本、米国(カリフォルニア州含む)、ドイツ、フランス、ノルウェー、中国とされた。
市場動向調査の結果、販売台数では中国が最も多く、シェアではノルウェーが最も高いことが明らかとなった。各国における電気自動車等の普及政策として、ユーザーに対する補助金制度や税制優遇措置、製造事業者に対する燃費規制・ZEV規制などが実施されている。特に2020年においては、コロナ禍の対応策として補助金を拡大したドイツやフランスでは電気自動車等のシェアが急拡大した。
自動車取得環境と電気自動車等のシェアの関係を分析した結果、車両保有コストが最も重要な要因であることが判明した。ノルウェーでは電気自動車等の車両保有コストが既存自動車よりも低くなっており、これが普及拡大の要因となっている。中国では車両本体価格が安い車種が売れ筋となっていることも、この仮説を裏付けている。
今後の普及動向に影響する要素として、蓄電池の研究開発動向、充電方法の多様化、電気自動車等に特有な利用価値、ESGの観点からの評価について調査が実施された。電気自動車等に特有な価値やESGの観点からの評価は、必ずしも直ちに普及拡大に繋がるものではないが、社会情勢の変化によってはユーザーへの訴求力向上に寄与する可能性がある。
