令和2年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(研究開発税制等の利用状況及び経済波及効果に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、研究開発税制の利用状況及び経済波及効果について書かれた報告書である。経済産業省が三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して実施した令和2年度の調査研究であり、平成29年度及び平成31年度税制改正後の研究開発税制の活用実態と効果を検証し、今後の制度設計に向けた検討を目的としている。研究開発税制については、総額型が試験研究費の増減に応じて税額控除率も増減する制度に見直されたほか、第4次産業革命型のサービス開発を試験研究費の対象に追加し、オープンイノベーションや研究開発型ベンチャーの促進措置が講じられた。調査手法は大企業・中堅企業及び中小企業への国内企業アンケート、計量経済分析、海外主要国の研究開発税制調査、関係機関へのWebインタビューなど多岐にわたっている。調査結果では、研究開発を行っている企業の89.7%が研究開発税制の利用経験があり、利用企業の97%以上が総額型を活用している。新型コロナウィルスの影響については、売上高や営業利益には50%弱の企業でマイナス影響があったが、研究開発投資へのマイナス影響は15%程度に留まり、約40%の企業が影響なしと回答した。海外グループ企業への研究開発投資では、成果の帰属について48.1%の企業が国内法人に帰属させると回答している。マクロ経済モデルを用いた分析により研究開発税制のGDP押し上げ効果を定量的に測定し、制度改正時の税収影響算出ワークシートも作成された。
