令和2年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(地域ものづくり中小企業の面的データ連携モデルの創出及び普及に関する調査事業)調査報告書

掲載日: 2021年11月9日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁経営支援部技術・経営革新課
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令和2年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(地域ものづくり中小企業の面的データ連携モデルの創出及び普及に関する調査事業)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、地域のものづくり中小企業のデジタル化による生産性向上を目的とした戦略的基盤技術高度化・連携支援事業について書かれた調査報告書である。令和元年度に実施した基礎調査で示されたConnected Industriesの恩恵をものづくり中小企業へ拡げるプラットフォーム構想をより実体のある現実的な計画に引き上げるべく、三つの深堀テーマを設定して調査が実施された。第一の調査では企業間データ・プロセス連携のパターンを類型化し、製造系中小企業団体への聞き取り調査を通じて十の事例を収集した。共同受注、共同購買、在庫・物流管理における連携で具体的効果が確認され、特に表面処理や熱処理といった外注加工形態において、各社の専門技術を束ねることでマッチング力を高める相乗効果が生まれることが明らかとなった。第二の調査では中小企業のERP導入に関する意思決定要因を分析し、効果的なマーケティング・プロモーション方法を策定した。従業員規模や業種別にセグメント化したアプローチにより期待通りのプロモーション効果を確認し、特に地場ITベンダーとの連携が重要であることが判明した。第三の調査では生産現場や企業間連携を含む全社的システム導入に必要なIT支援人材のコアスキルを定義し、育成方法を整理した。地場ITベンダー若手社員と学生を対象としたパイロット研修を実施し、高い理解度と満足度を記録することで育成の有効性が確認された。三つの調査を通じて、統合型業務への移行による個社の生産性向上と、非競争領域の標準化による企業間連携を志向する地域自走型サービスモデルが中小製造業の生産性課題解決策となり得ることがより現実味を持って示された。