令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(将来的なWTOプルリ交渉の可能性検討のための調査・分析)調査報告書
報告書概要
この報告は、将来的なWTOプルリ交渉の可能性検討のための調査・分析について書かれた報告書である。
1995年のWTO設立以降、物品・サービス貿易の自由化を目指して関税削減や貿易障壁の撤廃交渉が行われてきた。環境分野では2001年のドーハ閣僚宣言により貿易と環境に関する委員会の特別会合が設置され、環境関連物品・サービスの貿易自由化に向けた本格的な交渉が開始された。これまでAPECにおいて54品目合意に達したものの、2016年末にEGA交渉は決裂し、現在に至っている。
本調査では、WTOの交渉機能活性化の観点から、環境関連産業、IT製品、サービス貿易の3分野について企業アンケート・ヒアリング調査を実施した。調査対象は業界団体の会員企業約120社で、製造業から非製造業まで幅広い業種を網羅し、各社の環境保護技術・製品やIT製品に関する詳細な情報を収集している。
環境関連産業の調査では、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、地熱発電、水素、燃料アンモニアなどのエネルギー関連産業と、自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業、カーボンリサイクル産業などの輸送・製造関連産業を対象とした。企業の技術・製品概要、CO2削減効果、関税削減・撤廃への要望、非関税障壁、環境関連サービスについて詳細な分析を行っている。
市場調査・技術分析では、主要国のカーボンニュートラル宣言や気候変動対策、EU・米国における炭素国境調整措置の検討状況、タクソノミー策定などの政策動向を整理している。また、個別企業の取り組み事例として、シーメンスなどの多国籍企業によるカーボンニュートラル実現に向けた具体的な戦略や技術開発動向も分析されている。
