令和2年度中部地域ものづくり中小企業の事業化支援事業(サポイン技術シーズ成果海外展開支援事業)事業実施報告書

掲載日: 2021年11月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中部経済産業局地域経済部産業技術課
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令和2年度中部地域ものづくり中小企業の事業化支援事業(サポイン技術シーズ成果海外展開支援事業)事業実施報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中部地域のサポイン事業実施企業による技術成果の海外展開支援について調査・分析した報告書である。

経済産業省中部経済産業局が実施するサポイン事業は、中小企業のものづくり基盤技術の高度化を支援する制度であり、研究開発から試作品開発までの取組みを支援している。しかし、研究開発目標を達成した案件でも、市場情勢の変化や想定の相違により事業化に至らないケースが多く、技術PR手法やターゲット市場の見直しにより事業化の可能性を高めることが期待されている。特に事業化における市場拡大を検討する際には、国内のみならず海外展開も視野に入れる必要性が高まっている。

本調査では、平成26年度以降に採択され令和元年度までに終了したサポイン事業77事業を対象として、過去のサポイン企業のニーズ調査、海外市場の現地ニーズ調査、国内中小製造業の事例調査、海外の参入機会調査、国内外での海外展開支援人材・技術商社等の発掘という5つのタスクを実施した。アンケート調査では海外展開の検討状況、展開目的、ターゲット地域、展開形態、求める支援策等について把握し、海外展開ニーズの高い7社を選定してヒアリング調査を行った。

海外市場の現地ニーズ調査では、自動車および半導体製造装置の2分野を対象として海外川下企業10社にヒアリングを実施し、海外の市場・技術動向やサポイン技術に対する関心やニーズを把握した。国内中小製造業の事例調査では、研究開発で培った技術を活用して海外展開に成功した3社の事例を分析し、海外展開の検討事項や情報収集の方法論を明らかにした。海外の参入機会調査では、規制・政策動向や取引商慣習等がサポイン企業に与える影響を分析し、海外展開の動機となる要因を把握した。

調査結果から、展開先検討に資する情報収集、展開先候補との接点構築、展開先との連携に向けた商談という3つの段階において、それぞれ重要なポイントが明らかとなった。情報収集段階では、川下企業の技術動向や調達方針の把握、展開先国の規制・政策環境の理解が重要である。接点構築段階では、展示会等での事前の下準備、第三者による紹介・伝手の活用、相手に応じた適切な訴求が効果的である。商談段階では、川下企業側の窓口部門を見極めた訴求、地理的制約を克服した提案方法、現地の商習慣への適応が成功要因となる。