令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業エネルギー転換に関する日独エネルギー変革評議会に係る事業調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する日独エネルギー変革評議会の調査事業について書かれた報告書である。日本エネルギー経済研究所が2021年3月に作成したこの報告書は、日本とドイツの専門家による二国間協力を通じて、エネルギー転換・脱炭素化に向けた政策課題への効果的な対応策を検討したものである。
評議会は2016年に設置され、日独共同議長のもと両国の評議員で構成されており、事務局は日本エネルギー経済研究所とドイツのEcos ConsultおよびWuppatal Instituteが担っている。令和2年度は新型コロナウィルスの影響によりリモート形式で計3回の評議会と1回のウェビナーを開催した。
今年度の優先研究分野として「デジタル化とエネルギー変革」「CCUSや水素を活用したエネルギー多消費産業の脱炭素化」「コロナ禍以降のエネルギー/気候政策」の3つが選定された。デジタル化分野では、再生可能エネルギーによる分散型エネルギー供給の増加に対応するため、IoTやビッグデータ、AI技術を活用した送配電網の最適化について議論している。産業脱炭素化では、CCUSやグリーン・ブルー水素の活用による合成燃料製造や化学品への炭素固定化などの可能性を探った。コロナ後政策では、パンデミックがエネルギー需要やCO2排出量に与えた影響と、景気刺激策が気候変動対策に及ぼす影響について分析している。
報告書は日独両国の経験や取り組みを共有し、相互学習により各国のエネルギー変革達成に向けた有意義な示唆を得ることを目的としており、日本の長期的なエネルギー転換・脱炭素化の推進に貢献することが期待されている。