令和2年度産業経済研究委託事業<コーポレートガバナンス改革を踏まえた価値創造に資する合併と買収に関する実態調査>調査報告書

掲載日: 2021年11月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業資金課
委託事業者: 株式会社KPMG FAS
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令和2年度産業経済研究委託事業<コーポレートガバナンス改革を踏まえた価値創造に資する合併と買収に関する実態調査>調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、コーポレートガバナンス改革を踏まえた価値創造に資する合併と買収の実態について書かれた報告書である。経済産業省の委託により株式会社KPMG FASが実施した調査で、国内外のM&A事例を収集し企業価値創造要因を分析している。調査対象は国内上場企業3,620社、米国企業5,005社、欧州企業3,789社であり、2010年から2020年の期間において企業価値を飛躍的に向上させた企業のM&A戦略を類型化した。国内企業のM&Aは現有競争力強化型が93.1%を占め、新規事業による競争力獲得型が5.5%、将来向け早期囲い込み型が1.4%となっている。成功企業の共通要因として、事前の成長市場見極め、既存事業とのシナジー創出、PMI計画の徹底が特定された。日本電産や東京エレクトロンは短期的成果重視のコスト改善に注力し、エムスリーやミネベアミツミは長期視点での新規事業開発を重視している。ソフトバンクグループは圧倒的規模のファンド組成により成長市場への早期関与を実現している。クロスインダストリーM&Aの分析では、富士フイルムホールディングスやエア・ウォーターが既存事業の隣接領域から段階的に事業転換を図り、海外企業のDanaherやNVIDIAでは企業文化共有を重視した経営陣連携が成功要因として確認された。資金調達面では、日本企業は現金対価型が90.1%を占める一方、米国企業では混合対価型や株式対価型が18.6%採用されており、大型案件ほど混合対価型の活用が増加する傾向が明らかとなった。