令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(イスラエルと我が国及び主要第三国との経済関係に関する現状調査)報告書
報告書概要
この報告は、イスラエルと我が国及び主要第三国との経済関係に関する現状調査について書かれた報告書である。令和2年度に実施された本調査では、近年拡大・深化する日本とイスラエルの経済関係について、貿易・投資の増加傾向や先端技術分野での企業・組織間連携の進展、人材の相互移動の活発化などを背景として分析が行われた。調査目的は、日本とイスラエルの経済関係及びイスラエルと第三国の経済関係の分析を通じて政策的・制度的課題を抽出し、課題解決の可能性と経済関係の更なる拡大・深化に向けた示唆を提供することであった。
イスラエル経済の基礎情報では、実質GDPが過去5年間継続的に増加しており、全産業で成長傾向が確認された。経常収支は2015年から2018年まで減少したが、2019年にサービス輸出の大幅増加により改善している。日本企業へのインタビュー調査からは、ビジネス取引における課題として、大企業とスタートアップのスピード差、イスラエル企業のR&D重視による事業化までの長期間、軍事技術から派生した技術の民生化コスト、交渉における国民性の違いなどが明らかになった。
制度面では、投資exit益の二重課税問題、正確な財務情報取得の困難、長期滞在査証の制約、現地ID取得の必要性、軍事転用に関する知的財産問題などの課題が指摘された。政策面においては、業界の声にとらわれない政策推進、日本の人口減少対応に資する技術分野での連携支援、イスラエル技術の民生品への落とし込み支援、スタートアップのスカウティングから事業化までのプロセス支援などが求められている。主要国との比較分析では、アメリカ、イギリス、ドイツと比べて日本の取引量は総じて少ないが、イスラエルから日本への対内投資は多く、イスラエルの日本市場への関心の高さが確認された。
