令和2年度原子力の利用状況等に関する調査(諸外国における原子力発電所の利用に関する事項の調査) 調査報告書
報告書概要
この報告書は、諸外国における原子力発電所の長期運転に関する規制制度について調査した報告書である。令和2年度に資源エネルギー庁の委託により実施され、米国、スイス、フランス、カナダの4か国を対象として、原子力発電所の40年を超える長期運転および長期停止に関する規制制度の詳細な調査分析が行われている。
米国では運転認可更新制度により60年運転が可能となっており、さらに2度目の認可更新により80年運転も実現されている。審査は主に経年化管理プログラムと期間限定経年化解析に焦点を当て、技術的旧式化については運転期間中の常時管理で対応している。スイスでは定期安全レビューを通じて10年ごとに運転継続の適合性を評価し、技術的旧式化についても規制要求を設定している。フランスでは10年期総合検査により段階的に運転期間を延長する制度を採用し、事業者が主体的に機器の旧式化対応を実施している。
カナダでは統合的高経年化対策として物理的高経年化と技術的旧式化を一体的に管理することを要求し、長期停止についても認可更新や認可変更の枠組みで審査している。各国とも事業者の自主的な経年化管理を基本としながら、規制当局が定期的な安全評価を通じて長期運転の適合性を確認する体系を構築している。技術的旧式化への対応については、スイスとカナダが明確な規制要求を設けている一方、米国とフランスでは事業者の自主管理に委ねられていることが明らかとなった。
