令和2年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(電気用品等製品のIoT化等による安全確保の在り方に関する動向調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、電気用品等製品のIoT化等による安全確保の在り方について書かれた報告書である。
Society5.0の実現に向けて電気用品・ガス用品等製品のインターネット接続が進む中、遠隔操作や出荷後のソフトウェアアップデートに伴う製品安全確保とサイバーセキュリティ対策の必要性が高まっている。米国CPSCによるIoT製品のリスク指摘やIEC60335シリーズの改訂など、国際的にも製品安全とサイバーセキュリティの融合が進んでいる。現行の製品安全関連法はハードウェア欠陥による直接的脅威への対応を主眼としており、ソフトウェアやデータ不良、システム相互作用による間接的脅威への対応が不十分である。
調査では、IoT化等が考えられる電気用品等製品の安全確保実態、IoT化された消費者向け製品のトラブル・事故実態、遠隔操作等によるリスクへの対策設計の考え方、海外動向について調査を実施した。製品を人の注意が行き届く機器と行き届かない機器に分類し、遠隔操作とソフトウェアアップデートを対象としてリスクシナリオと方策・対策例を体系的に整理した。検討会とワーキンググループを通じて、製品安全の多重防護の考え方、スリーステップメソッドの概念拡張、遠隔操作可否の機器分類などを検討し、ガイドライン策定に向けた検討を行った。
今後の課題として、ガイドラインの実効性確保と普及啓発が重要である。国内外の多様な事業者へのアプローチ、海外製品や個人輸入品への対応、使用者のリテラシー向上、製品安全設計を理解できるサイバーセキュリティ人材の育成が求められる。また、協調安全の時代に向けて、AI活用、製品間相互干渉、責任分担の仕組みなど新たな課題への取り組みも必要である。
