令和2年度在庫情報のリアルタイム共有に向けた基盤整備事業報告書

掲載日: 2021年12月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ消費・流通政策課
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報告書概要

この報告は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うマスクやトイレットペーパーなどの品薄状態を踏まえ、緊急時における物資供給体制の強化を目的とした在庫情報リアルタイム共有システムの構築について書かれた報告書である。

令和2年度事業として経済産業省が主導し、メーカー・卸・小売間のサプライチェーンにおける在庫情報を迅速に把握できる環境の実現に向けた実証実験を実施した。事業内容は在庫情報共有に必要なルール整備、システム構築を通じた検証、継続的事業運営体制の構築の3つから構成されている。

システムの管理・運営責任は経済産業省が負い、利用者も経済産業省のみとすることで秘匿性の高い情報を適切に取り扱う体制を構築した。協力事業者からは商品分類ごとの在庫情報をCSVファイル形式で日次ベースで提供を受け、JANコード単位での商品情報、拠点情報、在庫数量等の実績情報を収集する仕組みを確立した。

実証実験では主要なメーカー・卸・小売事業者の協力を得て、マスク、トイレットペーパー、水を対象品目として在庫情報の共有を検証した。実証実験後のヒアリングでは、災害種別による不足商品の傾向が明らかとなり、地震時には水やカップ麺、風水害時には電池や充電器、疫病時にはマスクやトイレットペーパー、豪雪時には即席麺やレトルト食品の需要が急騰することが確認された。

今後の課題として、社会的意義や参加企業のメリットの明確化、業界団体を通じた協力事業者の拡大、手順書の改善、品目・エリアの拡充による実証実験の再実施が挙げられている。システムの安定的運営に向けては、運営主体や費用負担のあり方、協力事業者の負荷軽減策についても検討が必要とされている。