令和2年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(「事業継続力強化計画」の電子申請化による効果検証事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業の事業継続力強化計画の電子申請化による効果検証について書かれた報告書である。経済産業省が令和2年度に実施したデジタルプラットフォーム構築事業において、従来の紙による申請手続きを電子化することで、どの程度の業務効率化が図れるかを検証した結果をまとめている。
背景として、近年頻発する自然災害に対する中小企業の事前対策を促進するため、中小企業強靱化法に基づき事業継続力強化計画の認定制度が新設されたが、紙による申請では記載ミスが多発し、経産局等における補正業務や郵送作業等で多くの事務負担が生じていたことが挙げられる。これらの課題解決に向け、申請から認定までの手続きの電子化を進めることで、事業者の作業負担軽減と行政コストの効率化・迅速化がどの程度可能かを検証することが本事業の目的であった。
検証方法として、令和3年1月から電子申請システムの試験運用を開始し、全国9つの経産局等を対象に電子申請化前後の処理時間比較調査を実施した。さらに電子申請システム利用者に対するアンケート調査も行い、利便性や満足度を測定した。調査結果では、電子申請化により全8局において認定業務の事務処理時間が減少し、平均約29%の削減効果が確認された。
主な削減要因は、紙申請で必要だったスキャンや入力作業、申請不備の修正依頼作業、認定通知書の郵送作業の低減であり、在宅テレワークでの処理も可能になった。利用者アンケートでは、24時間申請可能や郵送費削減等の利便性向上が評価され、システム満足度も約8割が高評価となった。一方で、電子化により負担増となった工程も存在し、操作性やトラブル対応等の改善課題も明らかになっている。