令和2年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等委託事業(エネルギー政策動向分析・調査支援事業)報告書
報告書概要
この報告は、エネルギー需給構造高度化対策に関する委託事業について書かれた報告書である。経済協力開発機構原子力機関および国際エネルギー機関との共同により、諸外国におけるエネルギー事情と政策動向についての調査が実施された。平準化発電原価を用いた電力コストの国際比較分析では、原子力発電の寿命延長が最も安価なオプションとして評価され、ロシアや韓国において原子力発電のコストが特に低いことが確認された。一方で、日本の変動性再生可能エネルギーのコストは諸外国と比較して顕著に高く、自然環境以外の構造的要因が影響していると分析されている。二酸化炭素回収・貯留・利用技術については、炭素価格が石炭火力で50から60ドル、天然ガス火力で100ドルを超える場合にコスト競争力を持つことが示された。中長期のエネルギー需給見通しに係る分析手法の改善では、エネルギー需給モデルの全体構成とマクロ経済モデルの構造が詳細に検討され、2050年見通しを含む複数のシナリオ分析が実施された。再生可能エネルギーポテンシャル試算のためのデータ整備においては、陸上太陽光・風力発電および洋上風力発電の設置可能性について地理情報システムを活用した詳細な分析が行われ、各地域における導入ポテンシャルが定量的に評価された。新型コロナウイルス感染症の影響下におけるエネルギー市場情勢についても分析が実施され、中長期的なエネルギー需要見通しへの影響が検討されている。
