令和2年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費サウジアラビア王国・CO2 to Chemical生成事業実施可能性調査事業 報告書【公表版・英語】

掲載日: 2022年1月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石炭課
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報告書概要

この報告は、サウジアラビアにおけるCO2からメタノール製造プラントの技術的・経済的実現可能性について書かれた報告書である。三井物産と野村総合研究所が2021年8月に実施した調査により、CO2を原料とした年間10万トンのグリーンメタノール製造プラントの概念設計と事業性評価が行われた。

本プロジェクトでは、東部州の工業港に設置されるメタノール製造設備において、CO2回収装置から得られるCO2と水電解により生成されるグリーン水素を原料として、日産300トンのカーボンニュートラルメタノールを製造する計画である。検討された2つのケースでは、ケース1が北西部にPV発電所を建設して電力を供給する方式、ケース2が認証済みグリーン電力を購入する方式となっている。

設備投資額はケース1で約5億4700万ドル、ケース2で約3億1400万ドルと算出され、運営費は両ケースともに年間約4000万ドル程度の赤字が見込まれる。投資収益率(E-IRR)は10%程度を達成するためには、ケース1でメタノール販売価格850ドル/トン、ケース2で640ドル/トンが必要であるが、これらは現在の市場価格600ドルを大幅に上回る水準である。

一方、生産規模を100万トンに拡大した場合の感度分析では、メタノール販売価格をケース1で460ドル/トン、ケース2で295ドル/トンまで引き下げることが可能となり、市場価格との競争力が向上することが示された。しかし大規模化には大量の副産物水素の処理、巨大な設備用地の確保、グリーン電力の安定調達等の課題が伴う。事業化に向けてはグリーンメタノールの長期オフテイク契約の締結、認証制度の確立、グリーン水素製造コストの削減、安定したCO2供給源の確保が重要な要素として挙げられている。