令和2年度原子力の利用状況等に関する調査報告書 核燃料サイクル技術等調査

掲載日: 2022年1月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力立地・核燃料サイクル産業課
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報告書概要

この報告は、令和2年度における諸外国の核燃料サイクル技術等の現状・動向について調査した報告書である。調査対象国は米国、ロシア、フランス、英国、ドイツ、ベルギー、オランダ、中国の8か国であり、各国の核燃料サイクル政策の現状、技術開発動向、使用済燃料貯蔵の状況、施設の現状および役務動向について詳細に分析している。

米国では1970年代後半のカーター政権による商業用再処理禁止以降、オープンサイクル政策を採用しているが、近年は先進炉開発に向けた技術開発が活発化している。ロシアでは国家主導による再処理技術の維持・発展と高速炉開発を推進し、集中型核燃料サイクルを構築している。フランスでは長期的な再処理政策を維持し、2040年まで現行サイクル政策を継続する方針である。英国では民間事業者による再処理事業の段階的縮小が進んでいるものの、技術力維持の観点から研究開発は継続している。

ドイツでは脱原子力政策により新規燃料製造は停止されているが、既存施設の廃止措置と放射性廃棄物管理に注力している。ベルギーでは限定的な原子力利用の中で効率的な燃料サイクルを運用している。オランダでは小規模な原子力発電において、再処理を他国に委託する政策を継続している。中国では急速な原子力発電拡大に対応するため、自国での燃料サイクル技術確立を目指している。

分析結果として、各国の核燃料サイクル政策選択には、エネルギー安全保障、経済性、技術力維持、廃棄物管理等の観点が複合的に影響しており、国が先導する国では資源確保と有効利用を重視し、事業者判断に委ねる国では経済性を重視する傾向が明確に表れている。