令和2年度「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(省力化店舗実現可能性検討事業)」報告書
報告書概要
この報告は、コンビニエンスストアにおける酒・たばこ販売時の成人確認業務をデジタル技術で効率化することについて書かれた報告書である。流通業界では人口減少による市場の頭打ちと人手不足による人件費高騰が課題となっており、特にコンビニは社会インフラとして不可欠な存在でありながら、店舗運営の効率化が喫緊の課題となっている。現状では酒・たばこ購入時に店員による対面での成人確認が必要であり、これが無人化・省人化の実現における障壁となっている。本事業では、公的身分証明書の読取方式、生体認証方式、第三者の本人確認に依拠する方式、AI による年齢推定方式の4つのデジタル成人認証方式について技術調査、法制度調査、消費者調査を実施した。公的身分証明書読取方式では運転免許証、マイナンバーカード、パスポートの券面情報やICチップから生年月日を読み取る技術が検討され、券面読取方式とICリーダー読取方式に分類された。生体認証方式では事前に身分証明書と生体情報を登録し、購入時に照合する仕組みが検討された。第三者の本人確認に依拠する方式では携帯キャリアや銀行の契約情報を活用した認証が検討された。AI による年齢推定方式では顔画像から年齢を推定する技術が検討された。法制度面では未成年者飲酒禁止法・喫煙禁止法、個人情報保護法等の関連法規制が調査され、Web調査と会場調査により消費者の受容性が検証された。その結果、各方式には技術的課題、プライバシー保護、正確性、利便性等の観点で異なる配慮事項があることが明らかになった。特に個人情報の適切な取扱い、正確な本人認証、ステークホルダー間の責任分担の明確化が重要であると結論付けられ、バイ・デザイン、利用者中心、役割・責任の明確化、社会全体の4つの視点から対策の方向性が示された。