令和2年度コンテンツ海外展開促進事業(我が国映画産業の海外展開のための国際共同製作促進事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、日本映画産業の海外展開のための国際共同製作促進に関する調査について書かれた報告書である。
令和2年度に経済産業省が実施した本調査事業は、2018年の日中協定締結を受けて更なる国際共同製作を推進するため、次なる協定締結を視野に入れて実施された。業界関係者や有識者、省庁関係者を交えた検討委員会を開催し、実写とアニメーションに分けて各3回の議論を行った。検討委員会には映画製作者連盟、制作会社、配給会社等から10名前後が参加し、経済産業省、外務省、総務省、文化庁等がオブザーバーとして加わった。
調査では、フランス、イタリア、イギリス、ドイツ、アメリカ、カナダ、韓国、中国、台湾、日本の10か国・地域について、国内・域内の映画市場規模、映画産業の規制・法制度、支援制度を詳細に分析した。各国の興行収入、動員数、スクリーン数、平均チケット価格、年間入場回数、国産映画のマーケットシェア、映画製作本数等の基礎データを収集し、国際共同製作に関する優遇措置や支援策を整理した。特にヨーロッパ諸国ではCNCをはじめとする充実した公的支援制度があり、カルチュラルテストやポイント制度による文化的貢献度の評価システムが確立されていることが明らかになった。アメリカでは州レベルでの税制優遇措置が盛んであり、アジア諸国では韓国のKOFIC、中国の合作映画制度等、各国独自の支援体制が構築されていることが判明した。これらの調査結果を踏まえ、日本の国際共同製作協定の戦略的な締結方針と周辺施策の検討が行われた。
