令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(対日投資に資する日本企業の海外展開等に関するデータ分析調査)調査報告書

掲載日: 2022年2月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局投資促進課
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令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(対日投資に資する日本企業の海外展開等に関するデータ分析調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、対日投資に資する日本企業の海外展開等に関するデータ分析について書かれた報告書である。日本政府は2013年から対日直接投資残高をKPIとして定め、2020年までに35兆円という目標を掲げて様々な施策を実施した結果、2019年時点で33.9兆円まで順調に増加している。本調査では、将来的に日本に還流可能な日本企業の海外投資を定量的に把握し、対日投資促進のための投資分類手法を検討することを目的としている。

過去約10年間のM&Aデータベースを用いた分析の結果、日本企業による海外企業への投資は3,554件・約60兆円に達し、地域別では件数ベースでASEANが最多であるが、金額ベースでは北米とEU+UKが全体の約8割を占めている。一方、海外企業による日本企業への投資は1,214件・約11兆円であり、北米からの投資が最も多く、金融業界からの投資が件数・金額共に最多となっている。

日本企業の対外投資については、独自に開発した「ベネフィット・スコア」という指標を用いて多面的に評価し、日本への裨益度を定量化している。3つの視座から評価指標を設定し、単なる金銭目的の投資か、長期保有・連携を前提としているか、出資元企業の企業価値や業績が向上したかという観点で総合評価を実施した。その結果、対内投資に資する対外投資である「還流投資」は1,259件、還流でない投資は966件に分類された。

ベネフィット・スコアが高い取引を行った出資元企業は、人的資源や効率性、生産性、技術力において正方向の変化が大きい傾向にあり、出資先企業から一定の利益や学びを得ることができた可能性が示唆されている。また、還流投資が増加することで日本企業の業績向上、グローバル化の進展、国内市場の魅力度向上を通じて対内投資が増加するという波及効果の構造を整理している。