令和2年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(小規模自治体をフィールドとした共通業務課題解決に資するデジタル導入及びデータ活用等に関する調査研究)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度に経済産業省が実施した小規模自治体のデジタル導入とデータ活用に関する調査研究について書かれた報告書である。日本の自治体の約8割を占める人口10万人以下の小規模自治体が抱える人的リソースや財源、ノウハウ不足の課題に対し、福岡県行橋市をフィールドとして選定し、デジタル技術導入による業務効率化の検証を行った。具体的には、特定健診・保健指導業務のデジタル化として、保健指導業務の課題整理や工数調査を実施し、紙を中心としたアナログ業務からの脱却を図った。また、RPA導入による業務自動化の検証を行い、地域福祉課と国保年金課での業務効率化効果を測定した。さらに、タブレットを活用した保健指導入力支援ツールの開発とプロトタイプ検証を実施し、管理者システム、実施者システム、データ変換ツールから構成されるアプリケーションを設計した。データ活用型保健指導については、住民向けと保健師向けのワークショップを開催し、特定健診施策への関心喚起を図った。個別最適化された保健指導として、RIZAP社と連携した糖尿病等予防プログラムを実施し、体組成測定、血液検査、体力測定による効果検証を行った結果、参加者16名全員の体力年齢が10歳以上若返る成果を得た。プログラムでは対面からオンライン開催への移行も検証し、デジタルデバイスを活用した非対面型保健指導の有効性が確認された。本調査研究は、小規模自治体における共通業務課題の解決にデジタル技術を活用する手法を体系化し、他自治体への展開可能性を実証することで、地方自治体のデジタルトランスフォーメーション推進に資する知見を提供するものである。