令和2年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(自治体の行政手続等における汎用的なデジタル技術の導入等に関する調査研究)報告書
報告書概要
この報告は、自治体の行政手続等における汎用的なデジタル技術の導入等に関する調査研究について書かれた報告書である。
令和元年12月に施行されたデジタル手続法により行政手続の原則オンライン化が定められ、地方自治体においても行政手続のデジタル化対応が必要となった。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、各自治体でもオンライン申請やバックオフィス業務のデジタル化、テレワーク導入の必要性が再認識されている。しかし、各自治体が個別にシステム構築を行うことは重複投資となり、必ずしも望ましくない状況である。
そこで、自治体間の情報の非対称性を解決し、既存の優良事例を自治体が汎用的に導入しやすくするため、複数自治体で汎用的に活用するマーケットプレイス「自治体向けマーケットプレイス」を構築・運用する手法が検討された。本調査では、インフォ・ラウンジ株式会社が開発・運営している「自治体アプリマーケット Digital Service Square(DSS)」を選定し、自治体職員が活用できるマーケットプレイスとして必要な機能を実装した。
マーケットプレイスには、サービス事業者が自治体向けのアプリやWebサービス情報を登録・発信する機能、オープンソース開発者がアプリケーションのソースを公開する機能、自治体職員が情報を評価・検索できる機能、問い合わせや見積依頼ができる機能、職員同士のコミュニケーション機能などが実装されている。
調査では、自治体職員とサービス開発・提供者双方からのヒアリングにより必要な機能を把握し、優先順位をつけて実装した。また、マーケットプレイスの普及に向けて、広告展開、DX座談会の開催、具体的テーマに特化したマーケティング展開などの施策を実施した。結果として60件を超すアプリやサービスが登録されるに至った。
今後のサービス運営体制として、経営企画、マーケティング・営業体制、コミュニティーマネージャー・カスタマーサクセス、開発保守の各機能を一体的に取り組む必要があるとしている。自治体のDXは始まったばかりであり、今後数年間は試行錯誤が続くものの、最終的には市場拡大が見込まれるため、自治体×デジタルというテーマで確実にプレゼンスを高めていくことで、本サービスの普及拡大が期待できると結論付けている。