令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(民間航空機サイバーセキュリティのルール形成(国際標準化含む)戦略に係る調査研究)調査報告書

掲載日: 2022年2月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局航空機武器宇宙産業課
委託事業者: 株式会社IHI
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和2年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(民間航空機サイバーセキュリティのルール形成(国際標準化含む)戦略に係る調査研究)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、民間航空機サイバーセキュリティの国際標準化戦略について書かれた報告書である。近年、モビリティのコネクテッド化が進む中、2030年代には電動航空機の市場投入が見込まれており、サイバーセキュリティの議論が加速している。日本企業の電動化技術は欧米から大きな期待を寄せられているが、技術開発と並行してルール形成の領域にも注力する必要がある。電動航空機は従来とは異なる推進構造やシステム構造となるため、機体の安全性証明に新たな基準が必要である。航空機では部品点数が約100万点と自動車の10倍以上であり、複雑なサイバー環境が形成される。また故障しても動き続けなければならない設計思想の下、多重的なセキュリティ設計が求められる。

本調査では、SAE、RTCA、EUROCAEといった民間標準化団体における航空機サイバーセキュリティのルール形成動向を把握した。これら欧米の標準化団体が主戦場となり、航空機メーカ、電機メーカ、各国規制当局によって活発な議論が開始されている。国内では経済産業省が策定したサイバー・フィジカル・セキュリティ対策フレームワーク(CPSF)とRTCA文書との比較分析を実施した。その結果、サプライチェーンリスク管理や組織的なセキュリティ対応において日本が参画可能性のあるセキュリティ分野を特定した。

調査により、日本が国際標準化活動に参画するための戦略として、国際標準化団体の定点観察、攻める領域の選定、適切な体制構築が重要であることが明らかになった。特に将来のe-Enabled航空機を想定したセキュリティ対策について、CPSFを用いたモデル化を実施し、日本企業がシステムレベルでの参画を目指すための基盤を整理した。JAXA航空機電動化コンソーシアムとの連携強化も重要な要素として位置づけられている。