令和2年度化学物質安全対策(業務用冷凍空調機器等の使用時漏えい量に関する実態調査)報告書

掲載日: 2022年2月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局化学物質管理課オゾン層保護等推進室
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報告書概要

この報告は、業務用冷凍空調機器の使用時における冷媒漏えい量の実態調査について書かれた報告書である。

野村総合研究所が経済産業省からの委託により実施した調査では、フロン排出抑制法に基づく業務用冷凍空調機器からの冷媒漏えい実態を精査し、機器稼働時の排出係数算定方法を検討した。調査対象は大型冷凍冷蔵機器、業務用空調機器、中型冷凍冷蔵機器などの6分類で、冷媒種はCFC、HCFC、HFCの3区分とした。

経済産業省から提供されたデータを分析した結果、冷媒漏えいの原因は時間をかけて徐々に放出される「スローリーク」と、冷媒回路から一気に放出される「事故や故障」の2つに大別されることが判明した。排出係数の算定では、スローリークを主因とした機器ライフサイクル全般にわたる平均的な係数と、事故や故障を主因とした毎年異なる係数の2つのアプローチを検討した。

実態データは最大6年間分であり、機器のライフサイクル全体を網羅していないという制約があったが、市中で稼働している機器の冷媒漏えい事象を反映した有意なサンプル数を確保できた。データ精査では、初期充填量と設置日の有無により機器を5つのケースに分類し、補充量を漏えい量として分析を行った。

さらに、キガリ改正により高GWP冷媒の供給が制限される中で、機器廃棄時回収冷媒の活用方法も検討した。補充用冷媒確保のため、低GWP冷媒使用機器への転換促進、冷媒の再利用・再生利用促進、レトロフィット用低GWP冷媒の活用促進の3つの対応方策を提案した。特に回収冷媒の再生利用については、使用時の漏えい防止策との組み合わせが不可欠であり、20冷凍トン未満の機器におけるレトロフィット手順の確立も重要な課題として位置づけられている。