令和2年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業委託費(ミャンマー国南部地域におけるトリプルハイブリッド発電システムを活用した電力安定供給調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、ミャンマー国南部地域におけるトリプルハイブリッド発電システムを活用した電力安定供給調査事業について書かれた報告書である。令和2年度に実施された本調査は、ミャンマー南部のタニンダーリ州のオフグリッド地域を対象として、太陽光発電、蓄電池、ガスエンジンを組み合わせた自立給電システムの導入可能性を検討したものである。タニンダーリ州は現在ナショナルグリッドの接続がなく、小型ディーゼル発電所や各家庭の太陽光パネルで電力を賄っている状況であるため、安定的かつ高品質な電力供給システムの導入が急務となっている。調査では、ミャンマーの電力関連法制度や上位計画を分析し、2018年策定のミャンマー持続可能開発計画に即した低炭素社会の実現に資する再生可能エネルギー導入の重要性を確認した。現地関係者のニーズ調査を通じて、ダウェーとメイ地域における電力需要と課題を把握し、トリプルハイブリッド発電システムの技術的優位性と事業採算性を検証した。事業スキームとして、IPP方式による電力供給事業の実施を提案し、初期投資費用や運営費用を含む詳細な経済性分析を行った結果、適切な電力料金設定により収益性の確保が可能であることが示された。環境社会配慮の観点からは、CO2排出削減効果が期待され、地域の持続可能な発展に貢献できると評価された。一方で、現地ニーズに適合した競争力のある電力料金を実現する事業スキーム構築が最重要課題として挙げられ、カウンターパートとの関係構築や政府承認プロセスの明確化が必要とされた。今後の事業実現に向けては、現地調査の実施、日本政府支援スキームの活用、ミャンマー政府との継続的な協議が重要であると結論付けられている。
