令和2年度経営革新計画における電子申請の活用に向けた調査事業業務調査報告書
報告書概要
この報告書は、中小企業等経営強化法に基づく経営革新計画における電子申請の活用に向けた調査事業について書かれた報告書である。中小企業庁では新型コロナウイルス感染症対応における支援策のオンライン申請・支給状況を点検し、対面や押印の不要化、申請書類の縮減、法人データ連携基盤による電子申請等の手続簡素化・迅速化を促進している。本事業は承認主体である都道府県や申請主体である事業者にとって活用しやすい電子申請システムを把握するため、SaaSを活用した電子申請の実証実験を実施し、関係者の使い勝手や課題を調査することを目的としている。実証実験では、サイボウズ社のPaaS型クラウドサービス「kintone」を基盤とし、トヨクモ社の「フォームブリッジ」と「kViewer」プラグインを組み合わせた電子申請システムを構築した。システムは申請情報の保存、Web フォームからの直接データ格納、申請情報の閲覧機能を提供している。実証実験には中小企業庁が選定した3自治体が参加し、システム運用期間中のID発行、問い合わせ対応等の運用業務を実施した。利用者に対してはアンケート調査とヒアリング調査を実施し、申請者・支援機関に対するシステムの使い勝手や改善点、自治体における業務対応状況や電子申請システムの活用効果を調査した。将来的な電子申請システム整備に向けて、機能要件として申請者・支援機関向けメニュー画面、ステータス管理、申請情報入力、ファイル登録、申請受付、審査機能等が必要であることが明らかになった。また非機能要件として同時アクセス数への対応、ユーザビリティ・アクセシビリティの向上、システム稼働時間帯の拡充が求められることが判明した。今後の課題として、計画策定段階からのオンライン化によるハンズオン支援の環境構築、都道府県の地域特性や審査フローの違いを踏まえた申請書類の標準化、フォローアップ調査等を含む全手続きの電子化による利用者負担軽減と業務効率化の必要性が指摘されている。
