令和2年度中小企業実態調査事業(中小企業・小規模事業者の取組事例に関する調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度中小企業実態調査事業において、生産性向上や新分野への事業展開等に積極的に取り組む中小企業・小規模事業者の優良事例について調査した報告書である。日本の中小企業・小規模事業者は事業承継や人手不足等の課題に直面しているが、技術開発、新製品・サービス創造、経営創意工夫等で成功を収めている事業者が経済力の源となっている。本調査では有識者審査により特に優れた事業者を選定し、その取組内容を事例集として作成するとともに授賞式を開催した。掲載された300社の事業者は全国47都道府県にわたり、生産性向上、需要獲得、担い手確保の3つのカテゴリーに分類されている。生産性向上では製造業を中心に技術革新や効率化に取り組む事例が多く、需要獲得では新商品開発や販路拡大による売上向上事例、担い手確保では人材確保や育成に関する取組事例が紹介されている。また本調査では受賞事業者に対し最低賃金に関するアンケートも実施しており、181社から回答を得た。最低賃金については「低い」と回答した事業者が多数を占める一方で、中小企業の経営状況や地域差、生産性との関係を考慮した多様な意見が示された。特に生産性向上の必要性、地域格差の是正、企業規模による負担の違い等が課題として挙げられている。
