令和2年度中小企業実態調査事業(中小企業の経営資源集約化に関する委託調査)調査報告書

掲載日: 2022年3月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部財務課
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報告書概要

この報告は、我が国の中小企業におけるM&Aの実態と課題について書かれた報告書である。我が国の中小企業は、創業から衰退に至る単線的なライフサイクルをたどり、M&Aの慣行が浸透していないことから、低い開業率、低い生産性、経営者の高齢化といった構造的な課題に直面している。新型コロナウイルス感染症の影響により先行きが不透明となる中、業態転換を含む大胆なビジネスモデル変革による生産性向上が重要となっている。

調査によると、我が国のM&A件数は年々増加傾向にあり、コロナ禍においても年間4000件レベルの高水準を維持している。中小M&Aの実施件数も右肩上がりで増加し、M&A総件数に占める割合は16.0%まで上昇している。M&A支援事業者数も370社程度まで増加し、市場での存在感が高まっている。

中小M&Aの実施形態では株式譲渡が84.1%を占め、近年は事業譲渡の形態が徐々に増加している。売り手業種別では非製造業が約5割を占め、サービス業、ソフト・情報産業が上位を占めている。しかし、M&A支援における利益相反の問題、事業価値評価の困難さ、支援機関間の連携不足などの課題が指摘されている。

報告書では、事業再生支援や転廃業支援との連携強化の必要性を強調し、事業引継ぎ支援センターと中小企業再生支援協議会の連携促進、経営資源集約化に資する税制支援、切れ目ない相談体制の整備などの対応策を提案している。さらに、工程表の実効性確保のため、定期的なフォローアップの実施が重要であるとしている。