令和2年度重要技術管理体制強化事業(我が国における重要鉱物の流通管理高度化調査)調査報告書

掲載日: 2022年3月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易管理政策課技術調査室
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報告書概要

この報告は、我が国における重要鉱物の流通管理高度化について分析した調査報告書である。

報告では11種類の重要鉱物について、各素材の用途、製造方法、主要生産国、サプライチェーン上の課題とリスクを詳細に分析している。ケイ素においては、日系メーカーが高い競争力を持つものの電力コストの高さや化学薬品の安定調達が課題とされている。ガリウムでは中国の生産抑制により価格高騰が発生したが、長期的には供給源の多様化が可能との見方もある。インジウムではITOターゲット市場で中国企業の台頭により日本企業の競争力低下の懸念が生じている。

フッ素関連では中国産無水フッ化水素酸への依存度が高く、チャイナリスクが指摘されている。ヘリウムでは地政学的リスクの増大により国家備蓄への要請が高まっている。人造黒鉛では中国メーカーが太陽電池分野から半導体分野へ事業拡大を図り競争が激化している。

特にゲルマニウムについては詳細な分析がなされており、中国の生産・輸出管理政策の変化や資源税法の影響、大手3社への集約状況が報告されている。中国では金属ゲルマニウムの輸出量が増加基調にあるが、2020年には日本・ベルギー・米国向けが減少しロシア向けが増加するという極端な動きを示した。光学部品分野では軍事用途を中心とした赤外線レンズ需要があり、シリコンテクノロジーが国産化に取り組んでいるものの、中国品の価格競争力に直面している。各鉱物において中国への依存度が高い現状から、供給源の多角化と自前サプライチェーン構築の重要性が強調されている。