令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(新たな文化創造に資する経済社会のエコシステムに係る調査研究事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和2年度におけるクールジャパン政策の評価と今後の文化創造促進策について書かれた調査報告書である。経済産業省が主導してきたクールジャパン政策について、各施策の目的・手段・成果を整理し定量的に評価するとともに、新たな文化創造システムの構築に向けた方向性を検討している。これまでの政策は主にコンテンツを中心とした外需獲得に重点を置き、情報発信、ライフスタイルの海外展開、観光インバウンド獲得を推進してきた結果、コンテンツ輸出額は2010年の63.3億円から2018年の519.4億円へと大幅に増加し、訪日観光客数も2010年の861万人から2019年の3,188万人まで拡大するなど一定の成果を上げている。しかし今後は情報技術の社会実装やグローバルな接続の加速により、ヒトにしかできない付加価値創出が求められる状況となっている。そこで文化と経済が相互に作用するエコシステムの構築を目指し、経済から文化へのアプローチを重視した新たな文化創造システムの必要性が指摘されている。また日本の新たな強みとして、高齢化社会への対応ノウハウを活用したエイジング分野、世界最高水準の防災・減災技術を基盤とするレジリエンス分野、環境技術と製造業の融合によるサーキュラーエコノミー分野が特定され、これらを既存の製造業中心の強みと組み合わせることで競争力強化が可能であると提言している。
