令和2年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(Beyondコロナに向けた次世代エンタテイメントの在り方に関する調査検討事業)調査報告書概要版
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染拡大がエンタテインメント業界に与えた影響と、それに対する業界の対応および将来展望について書かれた報告書である。経済産業省が2021年3月に実施したこの調査は、エンタメ事業者へのヒアリング、消費者意識調査、海外事業者調査を通じて業界の現状を分析している。
調査では、エイベックス、アソビシステム、音楽制作者連盟、KSR、セブンセンスなどの主要事業者が対象となった。コロナ禍により多くのリアルイベントが中止・延期される中、各社はオンラインライブやデジタル配信への急速な移行を余儀なくされた。特にオンラインライブでは、アーティストがカメラ越しの観客とのつながりを感じるスキルが重要となり、従来の観客を直接見るパフォーマンスから根本的な変化が求められた。
新しい取り組みとして、歌舞伎からヒップホップまで多様なジャンルのオンラインライブ配信、事前ECサイトでのグッズ販売、PCR検査の実施、入場時間の分散化などの感染対策が導入された。しかし、オンラインライブの単価はリアルイベントの半分程度であり、収益面での課題が浮き彫りになった。
将来展望では、リアルとデジタルのハイブリッド型展開が主流となると予測されている。テクノロジーの進化により生に近いエンターテインメント体験が可能になれば、交通渋滞やゴミ問題の解決にもつながり、環境保護の観点からも意義がある。また、若い世代はYouTubeやTikTokなどのプラットフォームを活用し、クラウドファンディングや音楽配信サービスを通じた新しいマネタイズ手法を確立している。調査結果は、エンタメ業界がコロナ禍を機に構造的変化を遂げ、グローバル市場を視野に入れた多様なサービス展開が必要であることを示している。
